幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

冴子の母娘草

氷室冴子さんのエッセイの復刻版が出たので
改めて購入しました。



「なんて素敵にジャパネスク」などで有名な
氷室冴子さんとお母さんとのやり取りが
綿密に描かれているんですが、
このお母さんが桁外れにパワフルなんです。
情にもろく、感情豊かな
人間味溢れる人柄なんですが、
感情のおもむくままに行動し
思ったことをすぐ口にする、でも悪気は無い
ある意味困った人とも言えます。


氷室さんは私より一回り以上年上ですが
当時の女性の生きづらさだったり時代を感じます。


とにかくお母さんの結婚しろ攻撃がすごいんです。
電話で嘆き情に訴え、果てはテレビの占い出演まで!
なかなかの猛母、今でいう毒親かもしれません。
さすがの氷室さんもお母さんに絶縁状を書くほどに。
その後のお母さんの手紙もなかなかのインパクト。
なんだか小学生女子のような印象も受けます。


占いのテレビ電話出演もすごいですが、
他に心に残ったのが、都はるみのコンサートに行った話。
猛母だけではない可愛らしいお母さんの一面が見れます。


このエッセイを読んでるとこのお母さんと
イメージが被る人が同僚でいるんです。
私よりも年上ですがこの方もバイタリティ溢れてて
明るいお人柄なんですが、一瞬たりとも落ち着かず、
思い込みが激しく人の話を聞いていないので
真っ当な会話はあまり成り立ちません。
世話好きなのでたまに突然のお誘いを
受けたりするんですが、1日サシで一緒にいたら
振り回されて疲労困憊になりそうなので
私が20代なら喜んでお付き合いさせていただくんですが
と心の中で思いながら、つい尻込みしてしまっています。


氷室さんは2008年に51歳という若さで
残念ながら亡くなってしまいましたが、
もし今も生きていらしたら
いまのこの時代をどんな風に思ったんだろう。
今のエッセイを読んでみたいなと思いました。