幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

イベリスの花嫁 2巻

秋山はるさんの「イベリスの花嫁」2巻読みました。



大変残念な事にこの巻で最終巻となります。
もっと続くと思ってたのに!
なんと世知辛い世の中よ。
出版業界の厳しさが読者であっても
年々身に沁みます。


以下、がっつりネタバレしています。



お互いに婚約者がいる身でありながら
心が通じ合ってしまった美月と七海。
嫉妬心というものが無く、
愛は足し算という七海は屈託がないが、
罪悪感に苛まされる美月。
結局、美月は婚約者と別れて
七海に向き合おうとするが…


恋をすると世界がキラキラして見えたり、
七海が美味しそうにご飯を食べるところを
幸せそうに笑って見ている美月の2人が可愛すぎてもう。



読者としても幸せそうな2人を
ずっと見ていたかったけど
やっぱり2人の恋愛スタイルの違いは
とても危うい均衡で成り立ってて
笑い飛ばすだけでは埋め難くなっていきます。


その後、2人は一緒に朝を迎えます。
駅まで見送ってくれるという七海が
何気なく言った言葉、


「一緒にいたいじゃん?」


それは、七海にとっては駅までの
束の間の時間を意味することで
美月はそれを分かっていながらも
一生一緒にいたいと思ってしまうんです。
そして。
ぽろっと口からこぼれてしまった言葉




そう出来たらきっと幸せなんだろうね、
とでも言いたそうな七海の寂しそうな笑顔を見て
美月は2人の未来が無いことに
気が付いてしまいます。


切ない!!


結局、2人は当初の関係だった花嫁さんと
ウェディングプランナーに戻るという
辛い決断をします。


いやいやいや、マジかー!!!
そうくるかー!
いや、でもそうなっちゃうかー。


私の心中も千々に乱れます。


別れる時に、美月は言います。


人の気持ちなんて頼りないからこそ…
だからこそ、心が重なった瞬間って本当に、
本当に───



確かに。他人と心が重なるって奇跡かも。


そして。
七海の結婚式の当日。
プランナーとして控室に訪れた美月に
花嫁姿の七海は言います。


「私にとって、あなたはイベリスの花でした。」


イベリスの花言葉は3つあって
「甘い誘惑」「初恋の思い出」「心を惹きつける」


これは七海にとって美月は「甘い誘惑」であって
美月にとって七海は「初恋(の思い出)」で
そして2人にとって「心を惹きつける」
出来事だったのだと思います。


それから3年後。
美月は別の女性と結婚して
駅のホームでパートナーと電車を待っています。
その時、向かいのホームを夫と歩いてる七海を見掛け、
2人は再び目が合います。


その時の七海の屈託の無い笑顔。


印象的でした。


今回は恋愛スタイルの違いから
2人は別れを選ぶことになりますが、
でも確かに恋愛や友愛や人間関係って
相手を独り占め出来ないもどかしさや
両想いになることの方が難しかったり
小さな失恋の方が多かったり
そんな苦しい事の方が多かったりしますもんね。


正直、美月と七海が結ばれるのを
願っていた私にとっては
酷な結末ではあったけど、
でも多分そういう本質的なものって
変えられないよねぇという思いもあり。


長々と語り過ぎて上手くまとめられませんが、
でも物語としてとても面白かったです。


秋山はるさんの次回作も
期待して待ちたいと思います。


こちらは1巻の感想です。