幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

すぐ死ぬんだから


内館牧子さんの「すぐ死ぬんだから」読みました。



78歳の忍ハナは、60代まではまったく
身の回りをかまわなかった。だがある日、
実年齢より上に見られて目が覚める。
「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。



内館牧子さんの小説を読むのは初めて。
読みやすくて楽しめました。


主人公のハナと夫の岩造が仲良くて
良い関係だったので、岩造が亡くなった後の
ハナの気持ちに入り込み過ぎて
思わず泣けてきて読むのを中断していました。


数週間置いてまた読み始めたんですが
その中断後以降の話が面白かった!
岩造ひどい!とも思ったけど、ある意味
思い切りよく次のステップに踏めるのは
妻孝行でもあるのかなと。
あくまでポジティブに考えてですけどね。


そしてハナの人物像がユニーク。
私が今まで読んできた本にもハナのような
見た目重視に生きる女性が出てきたりします。
でも、たいてい「人は中身が大事」に落ち着きます。
だからいつハナの鼻っ柱が折られるのかと
ドキドキしながら読んでいたんですが、
そんな時は来ず。


内館さんの描くハナは見た目重視上等!
人は中身よと言う女にろくな者はいない!
さほど中身が無くせに免罪符にしている!
と、身なりに構わない老人たちを
コテンパンに(心と表情で)やりこめます。


正直、私もファッションにあまり興味がなく
理想はアップルのスティーブ・ジョブズスタイル。
でも何者でもない私にあれは難易度が高いので
仕方なく頑張ってコーディネートしています。
そして、やっぱり人は中身でしょ
という気持ちも強い。


なので、ハナの小気味良さは好きですが、
実際ハナのような人は信念が無いと
大変だろうなと思ってしまいます。


まあ結局、年だからと身なりに気を
遣わなさすぎるのもダメだし、
中身が無さすぎるのもダメだし、
ほどほどが一番ですよねー。


て、「ほどほど」が一番難しいんですけどね。


それから私が気になったのが、
岩造が大切にしていた掛け軸の
「平気で生きて居る」という言葉。


正岡子規の言葉らしいのですが、
なるほど、良い言葉だなぁと。


人生色々悩んだり苦しくつらいのに
人生100年時代って長すぎだろ!
ってうんざりだし、将来
頭や身体がダメになったらどうしよう
とか暗い未来を思い描くこともあるけど
そんなの憂うだけ無駄!


「平気で生きる」「平気で生きて居る」


しか、人間は出来ない。
もう仕方ないなぁ。
平気で生きてやろうって
私も掛け軸欲しくなっちゃったよ。


ご都合主義もありますが、
読後感も良かったです。