幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

冴子の東京物語

暑すぎる。まだ梅雨明けしてないなんて嘘。
もう夏でしょう。
朝からすっかりバテ気味です。参った。

またまた氷室冴子さんの本が復刻されたので
改めて購入しました。


こちらは氷室さんが20代後半から
30歳にかけてのエッセイになります。
そのなかでも特に面白いのをいくつか。

氷室さんは長電話魔。
10メートルのコードを駆使して
部屋のあちこちに電話を持ち歩きながら
8時間近く話しまくるのすごい。
そしてこの描写が懐かしい。
私もトイレに電話を持ち込んで
友達と長電話したりしてました。

ちなみに本の表紙イラストも
公衆電話の中にまで自宅の電話を抱え込んで
長電話してる氷室さん?なのが
ユーモアあって面白いです。


「思い込み」という章では
マッサージ屋さんと間違えて
いかがわしい店に入ってしまい
裸の女性が入ってきて
初めて間違えたことに気付くという
まるでマンガみたいな話に思わず笑っちゃいます。
しっかりしてそうなのにけっこうお間抜けな所が
あったんですね。


「十年ののち」という章では
学生時代からの3人の親友について語っていて
高校卒業後、3人で共同生活をした話が載っています。
それぞれ相手に薄情なほど不干渉で
氷室さんはそれが心地よかったみたいですが、
ここからもう少し後に書かれた

「いっぱしの女」というエッセイの中では、
実は友人はとても寂しい思いをしてたことを知って

人生観が変わった話をしています。
人間はどうしても独りよがりだったり
思い込みがあったりしてすれ違うことが
ままあって考えさせられます。




最後は「私の取材旅行」の章から。
これがすごい。ほぼ遭難話です。
お気楽な取材旅行のはずなのに
氷室さんの猪突猛進さが裏目に出て
読者は固唾を呑んで読み進め、
最後はよくぞ無事で帰ってきてくれたと
ほっと安堵すること請け合いです。