幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

崖にて

北山あさひさんの短歌集「崖にて」読みました。



正直、短歌といえば百人一首か
サラダ記念日の俵万智さんが思い浮かぶ程度。


そもそも短歌と俳句の区別もよく分かりません。
調べてみたところ、


短歌は 5・7・5・7・7の31音で季語要らず、
俳句は5・7・5の17音で季語必要だそうです。


でも短歌集って2,3個良い詩があっても
大部分はピンとこなくて飽きちゃうし
あの有名なサラダ記念日でさえ、
最後まで読んだかどうだか。


そんな私が何故短歌本を?


以前、読売新聞の書評欄で
こちらの本が取り上げられていて、
短歌が何作か挙げられていたんですが
どれも妙に心魅かれるものばかりで
忘れないように写真を撮っていたんです。


そしてすっかり忘れていました。
つい先日ふいに思い出して、
もう一度写真の短歌を見て、
よし買おう!と購入してみました。


税込み2,200円と高めでしたが、
でも買って良かったです。


作者である北山さんの詩は分かりやすくて
恋愛だけではない生活感に溢れていて、
何といっても言葉のチョイスとリズム感が
私好みなんだと思います。


私が特に好きだなと思った短歌をいくつか。


北にすむひとよ南にすむひとよ 空を見上げるだけで手紙だ


いちめんのたんぽぽ畑に呆けていたい 結婚を一人でしたい


もしかしたら眩しいだけの水かもと 思いつつまだ旧姓で呼ぶ


「いいのいいの」と微笑みながら妊婦ひとり 夜の交差点に踊りぬ


あの赤いプラダの財布よかったな 買おうかな働いて働いて


三人は産めと言われて ふわふわのたまご蒸しパンこの中で暮らそ


粉雪のスローモーション この星に結婚相手がひとりもいない


結婚を一人でしたいって面白い。でも分かるかも。


結婚した友達を旧姓で呼ぶときの
今までのようでいいのか新姓の方がいいのか迷い。
初々しくて微笑ましい。
さすがにすっかり遠い昔になってしまいましたが。


三人産めと言われて、ってすごいな。
でも未だに近い事を普通に言われたりしますもんね。
先日、私も仕事場でカウンターに立ってると、
あと数か月で定年なんだと話しかけてきた男性が
「日本は国力が弱い。少子化が問題なんだよ。
女性が子供を産みやすい社会にしないと
どんどん世界から置いて行かれる」
と要約するとそんなことをずっとしゃべってました。


「はあ、はあ」って聞きながら
「ここで言うな、てかお前が産めよ」
って心で思ってました。


安全圏で高見から物言うこの人の下で
働いてる女性社員や家族は
いい迷惑だろうなと思いましたね。