幾つになっても惑ってばかり

日々思ったこと、本や映画の感想やアニメなど趣味の話を脈絡なく綴っています

光のとこにいてね

一穂ミチさんの「光のとこにいてね」読みました。





とても良かったです!!!



最初本を手に取った時、
うわ、けっこうぶ厚いな!と
腰が引けた私。
最近、エッセイばかり読んでいるので
長編小説を飽きずに読めるだろうかと
心配だったんですが、全くの杞憂。


休みの日を一日費やして、昼ご飯も食べず
掃除機もかけずに読んでしまいました。
集中してるせいか気づくとあっという間に
1時間くらい経ってて、そのたびに
残りのページ数が気になって、
ああ読み終わりたくないと
このままずっと読んでいたいと思ってました。


こんなに集中したのは久しぶりで、
自分が中高校生だった頃を思い出しました。
実家でずっと本を読んでた頃。
まだ子どもで自分でご飯の準備も
掃除や洗濯もしないでよくて
読書に集中出来てたあの幸せな時間を。


文章構成も面白いんです。
2人の視点から見た話が
交互に繋がっていくんですが、
どちらの話か分かりやすいうえに、
それぞれの文章量が長すぎず、
過不足なくてテンポが良い。
(だから飽きなかったのかも?)
とても好きな文体でした。


話の内容はこんな感じです。


古びた団地の片隅で、7歳の果遠(かのん)と
結珠(ゆず)の2人の少女は出会った。
果遠が結珠に幾度も願った
「光のとこにいてね」
という言葉の先にある未来とは――。


もうね、果遠の一途さには心打たれるというか。
シロツメクサも防犯ベルも校章も何もかも。


ゆっくり目を開けると、マグカップが
目の前に置かれるところだった。
ふわっと立ち昇る湯気の向こうで

果遠ちゃんは自信なさそうにはにかんでいて、
私は幸福感に胸を衝かれた。


果遠ちゃんの愚かな一途さは
いつだって私の胸を深々と射抜き、
ほかの何でも埋められなくしてしまう。


大好きなのに手に入れることなど
考えもしないというか、
立ち場を弁(わきま)えていて、
ただ結珠に笑っていて欲しい、
光の当たる明るい場所にいて欲しい、
それだけを願っているような果遠ちゃん。


どんなに大人になっても、
結珠の前になると幼い頃の果遠ちゃんが
顔を出すのも可愛らしい。


一方の結珠は生真面目で、
はみ出すことも反抗も出来ず
受け身であることが多いけど、
ようやく後半、自分の意思で
動けるようになってきます。
特にラストの痛快さときたら!


結珠いけいけー!!


って応援しちゃうこと請け合い。


2人がこれからずっと一緒に光のとこに
いられることを祈らずにいられません。
最高でした!




(2人が高校生になって再び出会った頃の
 短編がこちらで読めます)